『空のそらと、風のうた』~episode:10 -あらかじめ失われたもの・1-
ここは牢ではなかったのだろうか。
すでに体全体を開き降伏の意を示した扉の、その隙間を覗き込んでみる。人は……いない。
だが、他の部屋の様子がこことは違う。外に見えるのは、いわゆる鉄格子の牢だった。
やはり、ここは牢で間違いない。しかし、僕だけなぜ、こんな妙な部屋に監禁されていたんだ。
『空のそらと、風のうた』~episode:09 -自由の対価-
今日だけですでに二度も散々痛めつけられ、すっかり、いたぶられ癖がついてしまった僕は、
今度こそ明るく悪趣味な部屋ではなく、ジメジメとした薄暗い場所で目を覚ました。
申し訳程度に灯された灯りが、固い寝台から半身を起した僕の後ろ側に、ぼんやりとした
僕の影を作りだしている。
『空のそらと、風のうた』~episode:08 -誰のものでもない風-
その晩から数日が経った、ある日の早朝――彼女が脱走を図った。
しかし、屋敷を抜け出すどころか、部屋を抜け出してまもなく、すぐに捕まってしまったという。
それとちょうど同じ頃か、その少し前くらいに、僕はあの晩に彼女と出会った部屋を探していた。
暗闇の中、おそらく歩いたと思われる道をなんとかたどりつつ、屋敷をさまよいながらようやく
『空のそらと、風のうた』~episode:07 -サイカイ・継 -なかない篭の鳥-
少女は人形だった。
いや、それは正しくない。
正しくは、人形のように扱われている、と言うべきだろうか。
どうやら彼女は、ジジイ……当主のお気に入りらしく、いつも綺麗な服を着せられては、
『空のそらと、風のうた』~episode:06 -空のそら・2-
それから、あっという間に月日は過ぎ、知らぬ間に背もずいぶん伸び、声も変わった。
ここに連れて来られて約三年と少し過ぎた頃、僕は大抵のことを一人でこなせるようになった。
「泣き言も言わず、ここまでよく耐えたものだ」
「アンタ……いえ、あなたのおかげです」
『空のそらと、風のうた』~episode:06 -空のそら・1-
僕が下層の人間でなければ、初めて乗った車や初めて見る景色に、感動したり興奮したり
したのだろうか。しかし、その時の僕は、故郷から無理矢理引き剥がされた失意と、これから
どうなるのかという不安で頭が一杯で、屋敷までの道のりも景色も覚えていなかった。
車が屋敷に到着すると、男(少女に出会った晩、話をした妙な男だ)が僕を連れて
『空のそらと、風のうた』~episode:05 -邂逅の回想・2-
……あ。
声こそ聞こえなかったが、抱えあげられる直前、微かに動いた唇がそう呟いた気がした。
なにが、どうなってる……?
でも、その声なき声の意味を探ろうとしたのが失敗だった。今は油断をして良い時ではなかった。
『空のそらと、風のうた』~episode 05 -邂逅の回想・1-
この国はまだ豊からしい。
なんの問題もなく食べられるものを、平気で廃棄処分するくらいには。
けれど、皮肉にもその現実が、飽食の世界の裏側で細々と生きる僕達の日々と、命を繋いでいる。
それに食べ物だけじゃなく、まだ使える衣服や物なども勿体ないことに(僕達には有難いことに)
『空のそらと、風のうた』~episode:04 -サイカイ-
僕は未だ屋敷の中で、再び帰る道を見失い、右往左往していた。
いくら暗いとはいえ、ここまで方向音痴っぷりを発揮してしまう自分にかなり泣けてくる。
屋敷内には所々、薄明かり程度にかがり火が灯されているものの、ついには見知らぬ場所に
出てきてしまっていた。
『空のそらと、風のうた』~episode:03 -侵入‐(episode link 03~07,00)
屋敷にたどり着くまでの間、僕は僕自身に何度問いかけただろう。
これから自分がしようとしている、そのことの意味を。もし失敗すれば確実に消される。
そうなれば爺さんも助からない。これからやろうとしていることは、そういうことなのだ。
それでも、行くのか。僕に、その覚悟があるっていうのか。
『空のそらと、風のうた』~episode:02 -世界の孤独-
世界には大勢の人があふれている、という。
けれど、僕達の世界に関わりを持とうとする者は、ほとんどいない。
僕達の世界に関わりのない、たくさんの人間達。
彼らはそれぞれに世界を持っていて、誰もがその中で、それぞれに主役を演じているという。
『空のそらと、風のうた』~episode 01 -序奏 夢見る翼-
大きな影が爆音とともに、頭上を駆け抜けていく。
灰色がかった白線を空に残しながら、一機の飛行機が空の向こうに消えていく。
その姿を眺めることがいつからか、幼ない少年の日課になっていた。
少年は、そうして空を眺めることが大好きだった。
『空のそらと、風のうた』~episode 00 -命をつなぐもの-
「……ってぇ……うぐ、げほ、げほ……!」
「なんだ、その目は……おらぁっ」
不意の衝撃を感じて数秒後、少年は自分の体が宙を舞い、そのまま地面に落ちたのだと知った。
口の中に、じわりと錆びた鉄のような匂いと味が広がる。あれ、この感覚、いつかどこかで……。
- 2009/10に登録
自己紹介
まず久石譲さんの音楽に触れ、
しばらくあとに姫神の音楽、
特に「神々の詩」に出会って
サントラに、インストもの、
シンセサウンドに惹かれる。
その後も色々な種類の音楽に
触れるうちに作る側に憧れて
YAMAHA製シンセサイザーを
購入。
歌詞も、言葉の意味や響き、
物語を考えながら、詩や文、
詞を書くことが好きでした。
あまりにも色々とありすぎて
燃え尽きました。(-_-)
【activity】
・2010-2013
同人音楽サークル「DaisyRock(DRIVE)」所属・サポート
【Youtube - Rain music ch】
#01 Snow Drop (リリックビデオ)
https://www.youtube.com/watch?v=hgVMMRCJOOc
※2021.03.27
#02 Lunar Dew
https://www.youtube.com/watch?v=Y4dqyGRsdo0
※2022.02.02
#03 風のゆくえ
https://www.youtube.com/watch?v=Z-Abvz2ieJA
※2022.02.10
#04 Awakening
https://www.youtube.com/watch?v=SK61d9CztWo
※2022.05.27
#05 my friend
https://www.youtube.com/watch?v=zjROSZeU5DE
※2022.10.22
#06 presence-riprise-
https://www.youtube.com/watch?v=H-84dpBLSDQ
#07 Snow rop-reprise-
https://www.youtube.com/watch?v=34f4HkZkSfw
#08 presence (Lyric image clip)
https://www.youtube.com/watch?v=5zBGPvgsiUc
#09 微笑みダイアリー
https://www.youtube.com/watch?v=emU_Eivqm4s