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『空のそらと、風のうた』~episode 01 -序奏 夢見る翼-

大きな影が爆音とともに、頭上を駆け抜けていく。
灰色がかった白線を空に残しながら、一機の飛行機が空の向こうに消えていく。
その姿を眺めることがいつからか、幼ない少年の日課になっていた。
少年は、そうして空を眺めることが大好きだった。
今にも崩れてきそうな建物が立ち並ぶ、荒れ果てた下層の世界。
この場所から見上げる空はいつでも少し歪な形だったが、空の色だけは他の場所から
見上げた時と同じく、ただ青く、美しかった。
空に憧れるのは、人が地面を歩くことしかできない生き物だからなのだろうか。

「いつか僕も、あんなふうにあの空を飛んでみたいな……」

少年がぽつりと口にしたその願いは、ごく普通の家庭に生まれていたなら、子どもらしく
可愛げのある、ごく普通の夢として、誰にも笑われたり、馬鹿にされたりはしなかっただろう。
しかし、少年の生きる場所には、ごくありふれた風景など存在しない。
それは、彼の住む世界が、普通の環境とは明らかに異なっているためだ。

ある時、少年は自分の夢を、同じ場所で共に生きる仲間に話したことがあったが、反応は冷たく、
ただ、ふん、と鼻を鳴らされ、一蹴されてしまうだけだった。
“こんな場所で暮らしている人間が、そんな叶うわけもない大それた夢など見るな”と、
大人達は疲れた目を、少年に向ける。
幼い少年はその度に腹を立て、大人達のその淀んだ目を嫌い、自分はこうはならないと誓った。
叶わないなんてこと、言われなくても知っている。
それでも、せめて口にするくらいは許されるはずだと、少年は日々強くなっていく希望を胸に、
毎日空を見上げ、舞うように空の彼方に消えていく飛行機に向かって、一つの願い事を、
決まって呟くようになっていた。

作品紹介

『ぬくもりのうた』(未発表)
詞のイメージ・ストーリー

製作:2012年

佐々木 聡太郎

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