朝顔 西瓜 風鈴
あの日を想い色を挿(さ)して
息を吹いて乾かせば
少し軽くなった夏はがき
筆運ぶ文字にためらい感じ
指先震えゆがむ縦書き文字
「暑中お見舞い申し上げます」
縁側にてひと休み
睡蓮鉢に青ガエルが
いかにも悩みもなくて
いかにも雨が恋しいのか
ほおずき市で買った植木鉢は
今年は根付いて鈴生りですよ
「その後、お変わりございませんか」
そろそろ仕上げないと
郵便やさんが来てしまう
首筋に汗にじむ
夕立まじかの涼風(すすかぜ)よ
吐息だけでもあなたの心に
祈り結ぶ最後の一行
「くれぐれもご自愛くださいませ」と。
作品紹介
ぺん
井高 直子コメント(0)
コメントを読むには、ログインが必要です。