松平頼暁/Coherency for ARK
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作品情報
| ジャンル | クラシック |
|---|---|
| 参加形態 | 単独 |
| 公開 |
作品紹介
1976年4月、アークアンサンブル(フルート:小泉浩、クラリネット:鈴木良昭、打楽器:山口保宣、ハープ:篠崎史子、電子ピアノ:高橋アキ)のために書かれ、同年同月、同メンバーによって初演された作品。
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松平氏は作曲をする際、音符を書きはじめる前に、まず題名を決めるのだそうだ。稀に、どうしても決まらず、曲の完成後につけることもあるが、そのような作品は、たいてい出来が良くない。なぜなら、コンセプトがはっきり定まっていないまま書いてしまった結果だからである‥‥と。
「コヒーレンシー/coherency(形容詞型:コヒーレント/coherent)」という言葉には、三省堂大辞林によれば、以下の二つの意味があり、これらがそのまま、曲の「コンセプト」となっている。
(1)[論]整合性・論理的一貫性などの意を表す語。
この作品は、アルバン・ベルクによる「2つの歌曲」(註)の2曲目で用いられた全音程セリーに基づいて書かれている。しかし、12音音楽のようには聴こえない。なぜなら、セリーのごく一部分だけが、非常に長く反復されるからである。反復される部分は1-2,1-2-3,2-3,2-3-4etcなどのように、音列の頭から後ろへと曲全体をかけて少しづつ移り変わって行く(途中の或る箇所と一番最後の小節で、音列の全貌が奏される)。引用元の音列を「整合的に」なぞり、(擬似)12音的技法に依拠した「論理的一貫性」を保った書法なのに、聴こえる音楽は、それらの参照元とは似ても似つかないものに変質している。その意図を松平氏自身は、次のように説明する。「私にとって、十二音音楽の引用は、<現代>が十二音音楽とはまったく無縁であることの証明なのである。」
(2)[物](波動などが)互いに干渉し合う性質をもつことを表す語。干渉性。
限られた音と音を往復させることによる執拗な反復音型は、ごく簡易な「波」だと考えられる。以前にここで紹介した、松平氏の「ブリリアンシー」という作品と同様、この「波」は、パートごとに分割比の異なる連符として常に相互のズレを伴って奏される。言い換えれば、周期が異なる複数の「波」の同時進行として現われる。従って、それらは干渉しあい、独特のモアレ効果を生み出す。これは、アメリカの初期ミニマル音楽一派の書法に似ているが、それらよりも、もっと多様で豊かな響きが楽しめると思う。
松平氏は、その作曲履歴の中で、何回か主要なスタイルを変えており、総音列技法を振り出しに、ポップアートに影響を受けたコンバインニング技法を経て、そこからさらに、旋法的書法へと移り変わった時期の嚆矢が、この曲だと言える。
(入力にあたって、ムジカ・プラクティカによる演奏の録音を参考にいたしました)
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註:1曲目と2曲目との間には20年以上の隔たりがあるが歌詞は同じ。前者は調性で書かれ、後者は12音技法によっている。
もし、お時間があれば、関連ブログも御覧ください。
井高 翔太コメント(0)
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