週末の午後 模様替えの途中
本棚の隙間 埃を払う
あの店で 何気なく買った
ガラスの小瓶が やけに目立つ
カーテンを抜ける 冷たい風が
季節の変わり目を 示している
僕はただ 読みかけのページを
閉じるタイミングを 見失ったまま
整理のつかない スクラップブック
捨てるべきものなど 分かっているのに
右手は 別の用事を思い出す
窓辺に置いた 小さくて白い花
名前も知らない その純粋さが
日差しを浴びて 静かに揺れる
ただそれだけで この部屋の気圧が上がる
枯らすわけにはいかないと
水を注ぐ その瞬間だけ
世界が少し 優しくなる
曇り始めた 空の機嫌を
伺うように シャツを取り込む
いつの間にか 使っている洗剤も
あの甘い匂いに 馴染んでいた
天気予報は 当てにならない
誰かの口癖が 耳の奥で
今更 ノックを繰り返している
窓を叩いた 突然の雨粒を
遮るように 錠を下ろす
この花だけを 包み込んで
優しく影を 作っている
それだけでいいと 言い聞かせながら
カレンダーの数字は 進んでいく
衣替えのたびに 荷物は減る
それでも あの場所にだけは
触れられない 触れたくもない
何より大事な 聖域だから
窓辺に置いた 小さくて白い花
名前も知らない その純粋さが
日差しを浴びて 静かに揺れる
ただそれだけで この部屋の気圧が上がる
枯らすわけにはいかないと
水を注ぐ その瞬間だけ
世界が少し 優しくなる
明日もきっと 風が吹く
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