ヒコン対大文字(インスト)
- 29回再生
作品情報
| ジャンル | ハードロック |
|---|---|
| 参加形態 | 単独 |
| 公開 |
作品紹介
組曲 『氷炎伝説』 XIV. ヒコン対大文字
門番の目をかいくぐって大文字邸に忍び込んだヒコンは、大文字の寝室に
向かいます。廊下から襖に指で小さく穴をあけて覗き込むと、寝室の窓際で
浴衣をまとった女が鳩に餌を与えていました。ヒコンはその女に見覚えが
ありました。それはクラブ十四のちいママ、レベッカでした。鳩の足には、
あのクリーム色の書簡挟みが付いていました。「君だったのか…」ヒコンが
驚くのもつかの間、風呂上りと見られる大文字が寝室に入って来ました。
「あ~いい湯じゃった」大文字は浴衣の前をはだけ、褌をはらっと床に落と
したかと思うと、腰をレベッカの眼前に突き出し、行為を命じました。
レベッカが生気のない表情で大文字のそれを含もうとした時、ヒコンの脳の
血管が一つ弾け飛びました。
「大文字さま、ひさかたぶりで」ヒコンは皮肉を込めて声を上げました。
大文字はギョッとした顔を向けましたが、やおら浴衣の前を結び直します。
「誰かと思えばヒコンか、苦しゅうない、ここへ寄れ。」
ヒコンは襖を開け、大文字に向かって歩み始めました。「逃げろと言ったじゃ
ない…だめよヒコン」首を振り続けるレベッカの視線が物語っていました。
ヒコンは持っていた唯一の武器である石切り包丁を懐から取り出すと、それを
振り回しながら「お命頂戴」と大文字に挑みかかりました。
「余を合気道六段と知っての狼藉か?よかろう」大文字はヒコンが持つ包丁を
難なく払い落とし、投げを決めた後、倒れ込んだヒコンを関節技で締め上げます。
「参ったか」大文字はヒコンを組み敷き、首を固めました。「この手は緩めんぞ。
冥途の土産に良い夢を見ろ」大文字がぐいと力を込めると、ヒコンは呼吸ができ
なくなりました。「おれも最後か…」ヒコンの意識が途切れそうになった瞬間、
大文字は「ぐっ」と息を漏らし、手の力を緩めました。
倒れ込んだ大文字の背中には、ヒコンが落とした石切り包丁が深々と突き刺さっ
ていました。その後ろには、自分がした事の恐ろしさにワナワナと崩れ落ちる
レベッカの姿がありました。ヒコンはレベッカの肩を抱きとめました。
(つづく)
コメント(8)
コメントを読むには、ログインが必要です。