お話を聞かせてくれたのは
子育てと仕事に奮闘する
シングルマザーのさくらさん
「 ―― 仁さんと初めて会ったのは
7年前だと伺いました 」
「 ええ 菜の花が咲く季節で
今みたく川辺りにたくさん
本当に綺麗だったけど
当時の私ときたら
1人で不安を抱えて…
景色を楽しむ余裕もなくて
ベンチに沈み込んでいたら
足元にボタンが転がったの
それは隣のベンチにいた
彼の服から取れたものだったのよ 」
「 ―― つらい時期でも思いがけなく
面白い出会いだったのですね 」
「 そう 仁さん ポストみたいに
顔を真っ赤にして挨拶して
私は思わず大笑い
子供を産んで育てる
不安も少し和らいで…
各地を旅して詩を書くなんて
高齢なのにすごいなって
でも少し心配になったから
2、3日泊まるよう言って
ベストのボタンも縫ってあげたのよね 」
「 ―― そうだったのですね!
なかなかできないことです 」
「 仁さんは真面目だけど
どこか抜けていて
いい人だったから
旅の話も楽しかったわ
最後の日には
詩をプレゼントしてくれて
私は本当に嬉しくて
だってそんな贈り物
もらった人なんている? 」
仁さんがさくらさんに贈った
“はれやかですこやかな日々を”
それは彼女の宝物になり
「 今でも力強く生きる
“糧” なのよ 」とそう話してくれました
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