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白いワニの幻覚

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作品情報

ジャンル イージーリスニング
参加形態 単独
公開

作品紹介

男鹿半島の北側
今にも朽果てそうな古宿
夜な夜な
海のものとも山のものとも解らぬ
白いワニの妖怪が出るという
その容姿は不気味で
三本足と五本足と四本足が
いるという言い伝え

そんなのありえねぇ~
ということで
興味深々その宿を訪ねてみた

「いらっしゃい、とぎどごよぐきたなぁ」

白髪のばあさんが出迎えてくれた
玄関をはいると大きな古い振子時計

「そりゃぁ、こわれちまって動かねェ」

部屋は二階の奥の部屋、階段を上って四番目
かなりの老朽化した建物で階段もミシミシと鳴る
さすがになにか出そうな感じ

夜も遅かったので酒をかっくらって
寝ようとしたが、なかなか寝付けない

夜も更け、うとうとしかけたころ
階下のほうから時を告げる時計の音が

ボーン、ボーン・・・・

陰にこもって不気味

あれ?壊れてるって言ったよな

と、時計の音がやんだそのとき

階段のきしむ音と足音が・・・・
ミシ、ミシ、ミシ、ヒタ、ヒタ、ヒタ

あ゛っ、何か来る!
戸の建付けが悪いので廊下の音がよく聞こえる

その足音は階段を上って最初の部屋の前にとまり
戸をス~とあけ

『ここかな・・・・違う』

次は二番目の部屋の前

『ここかな・・・・・いない』

背筋の凍るような低いかすれた声だ

次は三番目の部屋
隣まで来てしまった
恐怖のあまり布団をかぶった

それでも音は聞こえる
戸をギ~と鳴らし

『おかしい・・・・ここにもいない』

ミシ、ミシ、ミシ、ヒタ、ヒタ、ヒタ

とうとう自分の部屋

怖いながらも布団の中から
戸の方を覗くと
少しずつ開けられた隙間から
よどんだ月明かりが差し込む

そこに現れたのは

白装束の得体のしれないなにか

『マッサージで~す』

「わ゛~、たのんでねぇ~」

佐々木 桃子

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