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もはや戦後ではない

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作品情報

ジャンル フォーク
参加形態 単独
公開

作品紹介

小6の時にあった、「水泳事件」を思い出しました。

その日はよく晴れた日でしたが、1,2限目の僕ら6年生の水泳は、水温が低く中止となりました。
昼になって気温が上がると、午後の5,6限目には下級生の水泳が可能になり、昼休みの終わりごろには、
着替えてプールサイドに集まっているのが、教室から見えました。

すると誰からともなく、「ええなー」、「僕らもやりたいなー」と言い始め、
いつのまにか、両手で机をバンバンたたきながら、「水泳!水泳!」とクラスみんなで大合唱。
授業を妨害して、みんなで騒ぐのも楽しくて止まりません。

5限目の授業を始めることができず、困った先生は、「よしちょっとまっとれ」といって、出ていきました。
たぶん職員室で校長か教頭に許可をもらいに行ったのでしょう。
すぐ帰ってくると、「よし水泳やろう!」といって、みんなも大喜びで、プールへ移動しました。
でもプールの更衣室で着替えはじめると、だれも口にはしませんが、何となく後ろめたい気がして
みんなのろのろ着替えていました。
先生は真っ先に着替えて、「よしやるぞー」元気にいうので、僕らもまた盛り上がってプールサイドへ出ていき、水泳をやって、その日は楽しく終わりました。

ところが後日、6年のほかのクラスから「公開質問状」がとどきました。
「水泳は学年でまとまってやる決まりなのに、なぜ勝手にやったのか?」
「ほかのクラスのことは考えなかったのか?」
「だれか止める人はいなかったのか?」
「最高学年の6年として、どう責任を取るのか?」などなど
その後はずっと学級会などで話し合いが行われました。
僕はまだ抽象的な話し合いがよくわからず、ボーと聞いていましたが、これは卒業まで続きました。

大学生のころふと思い出して考えたとき、先生はあの時水泳の許可をもらったのではなく、
あえてああいう問題を起こすことで、集団での暴走の恐ろしさ、それを止める難しさ、やったことへの責任の取り方など
6年生に考える体験をさせる、という相談に行ったんだと思いました。

明治維新後、富国強兵のもと、欧米列強国にまけじと、戦争をし、アジアを植民地支配していくときも
国民は、「日本は強い!」「天皇万歳!」と集団で暴走し、その挙句、国内外に多大な犠牲を強いたのと同じ
集団での暴走の危険性を、現代の僕ら子供も持っていることに、気づかせてくれたのだと思います。

そして今、教室では、一部の生徒が「日本!日本!」「改憲!改憲!」と机をバンバンたたき騒いでいます。
冷静に止めようとする一部の生徒の声は、騒音にかき消されています。
さらにあろうことか、騒ぎを止めるはずの先生までもが、
教卓をバンバンたたき「改憲!改憲!」と皆をあおり始めています。

保守でも革新でも、右でも左でもよいのですが、集団で暴走して物事が決まっていくのは、大変問題だと思います。

近藤 学

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