一、
蛇の目の傘が 雨音に混じって
近づく気配は お寺の境内
着のみ着のまま 飛び出したけれど
寒さに凍えて 着物も濡らす
「ごめんなさいね」と 小声で言って
大きな傘を 差し出すあなた
二、
びっしょり濡れ髪 しずくがぽとり
懐、手ぬぐい 温もり沁みる
取るに足らない 夫婦喧嘩
雨も笑って 雲も切れました
「ごめんなさいね」と つないだ指先
大きな傘は たたみましょうね
※
帰る道々を 水溜りよけて
夫婦鳥(めおとからす)も 並んで石塀(いしべい)に
「ありがとうね」と 耳元ささやいて
下駄の鼻緒も 挿げ替えましょうね
作品紹介
ぺん
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