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氷と炎(インスト)

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作品情報

ジャンル フュージョン
参加形態 単独
公開

作品紹介

組曲 『氷炎伝説』  XV. 氷と炎

ヒコンは今こそ、自分にとって誰が一番大事な女性であったのかを悟り、
レベッカと熱く唇を重ね合いました。「ああ、ヒコン…」レベッカは、
これまで大文字の情婦という身分ゆえに我慢してきた情熱を解放しよう
として…

大きく目を見開きました。騒ぎを聞きつけてレイラ(冷羅)がやってきた
のです。「ヒコン、気をつけて!あの女は『雪女』の子孫!今まで何人の男
を殺してきたかわからないわ」。

レイラは『いてつく視線』をヒコンに投じます。ある意味、レベッカに
対する嫉妬が混じっているのかも知れません。「危ない!」レベッカはヒコン
を突き飛ばしました。彼女はヒコンの身代わりにいてつく視線に当たり、
その身体は一瞬で凍りついてしまいました。

「レベッカぁ!」ヒコンはレイラを見据えます。「貴様、よくも…」
レイラも逆上しています。「貴方は私の大事なお友達を馬鹿にした…」

「う...」ヒコンは、封印されていた激情が自分の中に蘇るのを感じました。
ヒコンは炎の化身だったのです。彼がこの激情にとらわれたのは過去に一回
だけ、実の両親のトラブルを目撃した時でした。その時にヒコンが放った
無数の炎のつぶてにより、故郷の村は全焼してしまったのです。

レイラとヒコンは氷と炎の応酬を続け、逢坂の町じゅうが燃え上がったり
凍ったりの地獄と化しました。勝負は…ヒコンの火の魂により、冷羅の氷の
魂は昇華させられる運命にありました。しかし、冷羅もまた、火魂に恋心を
抱いていたことは真実だったのです。

戦いの末、凍り付いたレベッカの体は一時的に解凍されました。レベッカは
「ヒコン、生きてるの?そう、よかった…ごぼごぼ」と断末魔の声を上げると、
ヒコンの腕の中で息を引き取りまし た。『おお~ん』むせび泣くヒコン。その
悲しみは無限に増幅を重ね、ヒコンの体は爆発しました。そばに転がっていた
大文字の体は炎に包まれた状態で吹き飛ばされ、文字通り四肢を伸ばした形で
京の都を見下ろす山肌に突き刺さりました。

ヒコンの大爆発により、地面には巨大な穴が開き、そこには水が流れ込み、
日本一大きな湖と呼ばれるようになりました。今日、『逢坂の関』跡は滋賀県の
大津市にありますが、逢坂という町がどこにあったのかは不明です。伝説の全貌
は、その湖底の泥だけが知っているのかも知れません…。
(『氷炎伝説』完)

斉藤 七夏

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